映画

月に囚われた男
2010年のSF映画 原題は「MOON」

デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズ監督の初長編映画
邦題は親父の映画「地球に落ちてきた男」のもじりかな?、
観終わると結構いい邦題を付けたなと思った、B級映画にはいい邦題付けるのになんで
話題性の高い映画はしょぼい邦題ばっかりなんだろうか?

地球がエネルギー危機に陥って、月の裏のヘリウム3採掘で危機を乗り切って数年。
1人の男が月の裏の採掘基地で3年契約でAIのサポートの元仕事をしている。

似た構成要素やアイデアの作品は多いけど全員優しくするとこうなる、
っていう低予算のアイデア勝ち映画。
描写されてる範囲だけで映画を見てしまうと彼サムとAIガーディと4台の採掘機械では
地球全土のエネルギーを賄うのは到底無理なのは明白、
けど自分たちがクローンであり「秘密の部屋」を発見するところまで映画を観ると
月面上の世界観を想像できるようになる。
サムは自分の採掘場の範囲外のことは全く知らず、何千人も複製のサムがいるということは
月面上に同じ採掘場が農場のようにある・・・のでは?という想像。
最後まで観るとやべー事になってる作品全体の世界観が想像ができるようになる。
前回のサムが妨害アンテナを壊したことにより次のサムは通信が自由になり自分の現実を知る…、
んじゃないかな、というところで映画は終わり。

基地セットを丸ごと作ったり製作費がかかってそうだが全部スタジオ撮影の低予算映画、
低予算故に見る側に補完をお願いするような片手落ち感はあるけど設定はセットのそこかしこに
置かれているのでちょっと巻き戻して見直すとかを繰り返すと持ってる世界観が見えてくる。
冒頭から「ん!?」ってとこがちりばめられていて、ワザとやってる。

自分自身と対峙するアイデアは多々あるけど、この映画では喧嘩はするものの
ごく普通の労働者であるサムがどっちが一番ともめて殺人をするって展開にはならず、
またAIのガーディもすごくいい奴、複数のサムがいようとサムを全員守るのが仕事という
姿勢を崩さずサムの生存を第一に考え独自の考えでサムに協力しさえする、優しい奴しかいない。
サム・ロックウェル一人二役がすごくよかったが、SF映画的にはガーディがすごく気に入った。

この映画は変化球のループものだは。