映画

トールマン
2012年
炭鉱が廃坑になり廃れていくばかりの町を舞台にしたホラー映画。

ホラーというよりはスリラーなのか社会派なような気もする映画、
主人公の女性ジュリアの立場が途中で180度変わるシナリオ展開が面白かった。

一見アメリカの過疎地域の問題をベースにした物語のようだけど、
主人公の立場が実は"実行犯"と分かる後半で観かたが変わった。
ジュリアは秘密の国策で過疎地域から子供を連れ出し平均的な家庭へ養子に渡すプロジェクトの
実行部隊の一員で善意の人のようなのだが、
これってアフリカ地域でNGOだとかの人達を伝手に貧しい地域の子供から自分の好ましい子供を
好きに選別して養子縁組して「救った」と思って連れ帰ってくる人たちの行為に似てるなと思った。
特にそう思ったのが、ジュリアの秘密に気が付いた15歳くらいのジェニーの連れて行ってほしいという願いを
「あなたは耐えられない」と断ったとき、
物心ついてその生活に馴染んでしまった子供を再教育するのは難しいってことだろうけど、
現実、養子にされてくる子は10歳未満の子供が圧倒的に多くて15歳くらいになると養子より寮に放り込まれて
学業とか職業の訓練をさせる、そこからもあぶれちゃった子や逃げた子は誰も救いの手が届かない、
アフリカ地域なんかだと特にそんな子の方が多い気がする。
終盤のジュリアの心情の告白はこれかなと、彼女はアメリカの法律で逮捕され収監されるが
子供の所在(遺棄した場所)を喋るかもしれないので死刑にはならない、
善意はどこまでが"通じるのか?"善意とは何か、という映画だと思った。

最終的に連れ去られ名前を変えたジェニーの葛藤と、ないも知らずに養子になった幼児デビットが対照的。