ホテル エルロワイヤル
「キャビン」のドリュー・ゴダード監督・脚本
70年代アメリカの廃れたホテルを舞台に全く関係のない偶然泊まり合わせた5人と
ただ一人のホテルマンのサスペンス映画。
「キャビン」で先鋭的な仕掛けを披露した監督らしい映画で
この映画でも「70年代アメリカ」を小道具として駆使した演出が面白い。
話の進行はクローズド・サークルの定番手法で進みそれぞれ抱える事情の違うキャラクターを
部屋番号で順にオムニバス的に紹介しつつ本編の話を進める演出手順になっている。
「ハリウッドで最も過小評価されている俳優」No1のジェフ・ブリッジスがいい感じの爺を演じていて
マイティ・ソー」のクリス・ヘイワーズがヒッピーの教祖で登場する。
この映画はアメリカ人の知るアメリカ史を知ってるかで面白さが変わる映画で
ウォーターゲート事件で改正された情報公開法で最近公開された(真っ黒だけど)70年代の政治がネタに
使われている。終盤の「死んだ人」というセリフが誰を指してるのか分かるとネタが生きてくる。
JFKニクソン、フーバー、ベトナムで検索か扱った映画を観ると楽しめる。
音楽がいい、不遇の黒人歌手役で出ているシンシア・エリヴォの当時のヒット曲のアカペラと劇中の選曲がいい。

同じネタをつかった作品
ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記
ニコラス・ケイジ主演の冒険映画2作目、1作目アメリカ建国時に隠されたフリーメイソンの宝を探す映画、
2作目は本編はリンカーン暗殺ネタだけど手に入る日記にアメリカ史を揺るがすネタがぶっこまれてる。
X-ファイル
「モルダーあなた疲れてるのよ」でお馴染みの90年代流行ったSFドラマ、
話の中心は宇宙人の存在や超常現象だけどその流れにアメリカ史に残る事件をチラチラ絡ませてる。

アメリカは建国240年弱の近代に出来た国で北欧やアジアのような伝説や神話を持たない国、
伝説や神話で建国が語られる国から観ると、そういった伝説が作られてく過程をリアルタイムで観ているということになり
アメリカ自体がとても面白く見える、近年は「スレンダーマン」が出来上がる過程が民話・伝承が出来上がる過程として注目されてる。
誰もが試行錯誤する過渡期ってのはどんなものでも一番面白い期間。